適切なパートナーの選定ミス
海外進出の成否の鍵を握るのが現地のパートナー企業。その重要性や見つけ方、パートナー選びの失敗事例を紹介します。
適切なパートナーの選定が
海外進出成功のカギ
海外で事業を行うにあたって、自社の完全子会社を現地に設立するという選択肢もあります。しかし、現地の法令・制度・商習慣などを加味すると、現地企業との合弁会社設立や、販売代理店とのパートナー契約、保守サポートなどの業務提携といった体制を検討したいところ。つまり、現地のパートナー企業はとても重要な素材となります。
一方、海外事業を撤退する理由の中で「現地パートナーとの不調和」というケースが多いのも事実。パートナー選定は、現地での実績や評判などに加えて、中長期レベルで信頼できる相手であるかを見極める必要があります。
パートナー選定ミスによる
失敗事例
現地企業との合弁会社と、現地企業との販売総代理店契約と、海外進出のパートナー選びの失敗事例を2つ紹介します。
現地パートナーの勝手な行動で
利益が出ない
小売チェーンを運営する企業が、海外進出先の企業と合弁会社を設立したものの、現地企業が勝手に業務を進めて制御が効かなくなった事例を紹介します。
現地企業は日本側企業に伝えることなく、仕入先を自社の関連企業に変えてしまい、合弁会社の仕入原価が割高になってしまったのです。結果、想定した利益が出ない状態に陥ったものの、日本側企業には現地の言語がわかる人材がいなかったのも大問題。伝票や帳簿のチェックすらできず、安価に株を譲渡せざるを得なくなりました。
現地の販売総代理店に
無断で類似品を作られた
日本のメーカーが、海外の現地企業と販売総代理店契約を締結、最終的に撤退したケースを紹介します。
事業をスタートした当初は販売が好調だったものの、ある時期から注文が途絶えたのです。メーカー側で調査をしたところ、現地企業は知らぬ間に類似品を作って販売していることが発覚。技術情報などを提供していたこともあり、現地企業はより安いコストで地元企業に製品を作らせていたとのこと。加えて、現地では元の製品名を現地企業が無断で商品登録までしていたため、メーカーは販路を失ったというわけです。
良い現地パートナーを
見つけるには?
中長期的に安心して事業ができる現地パートナーを見つけるために、やるべき基本事項を3つ紹介します。
JETROなど公的機関や
コンサル会社に相談する
JETRO(日本貿易振興機構)筆頭に、企業の海外進出をサポートしてくれる公的機関では、海外展開支援機関などの紹介や、現地での展示会・商談会といった機会創出で頼りになります。他にも、現地拠点がある金融機関、海外進出のコンサルティング会社(有料サービス)に相談するのもいいでしょう。
経営判断するには経営者自身で
現地に足を運ぶ
自社だけでは難しい現地パートナーの情報収集は、社外のサポートを受けるのも当然ですが、経営判断を間違わないためにも、経営者自身が現地に足を運ぶことが大切です。特に、パートナー企業の選定は現地での情報収集、現地同業者へのヒアリングなども含めて、現地企業を複数回訪問するのがおすすめ。何度も訪問すれば、温度感や対応ぶりも冷静に判断できるでしょう。
パートナーの評価は
複数ルートの情報で判断
海外進出する国・地域によっては、業種や対応領域などの兼ね合いで、パートナー企業の選択肢が少なくなることもあるでしょう。それでも、情報は複数ルートで入手して、できるだけ多角的に分析・判断できる材料を揃えましょう。
例えば、紹介者からの情報だと良い面が強調されがちなので、利害関係が影響しない情報ソースもチェックするのが賢明です。
様々な方法でパートナー候補の
情報をチェック
これから海外進出しようという企業にとって、現地パートナーは異国の初取引相手。事前準備として様々な方法で先方の情報を集めて、複数企業を比較検討しないとダメ。日本と違って性善説が前提とは限らない商習慣もあるので、誰かの紹介だとしても簡単に信頼するのは危険とさえいえる。
特に、日系企業がまだそれほど進出していない国や地域だと、情報も選択肢も多くは望めないかも。だからこそ、エリア特性をしっかり吟味して、信頼できる海外進出支援コンサルタントを見つけることからスタートしよう。そして、自社でも現地調査・現地訪問を実践することも重要。
調査をするためには、自社のノウハウのみではなく、現地に詳しい海外進出支援コンサルに頼ることも視野に入れてほしい。このサイトでは、各国の情報や海外進出支援コンサル会社についても紹介しているので、あわせてチェックしてほしい。