海外進出計画を立てる
海外進出の計画立案にあたって、企業が自社で準備すべきことや主な行程を説明します。海外進出支援機関(行政機関から民間企業まで)に依頼できることもまとめたので、ご覧ください。
海外進出で計画すべきこと
海外進出の計画を大きな項目分けると、以下で説明する目的の明確化、進出先の選定、海外進出計画の策定の3つになります。日本国内での新規事業立ち上げと違って、日本ローカルのビジネスルールなどが通用しない面も多々ありますし、業種業態及び進出先による違いも多種多様。
そこで、海外進出の具体的な計画を遂行するには、早め早めの準備が基本。社内で専門の担当チーム及び責任者をアサインして、それぞれのミッションを明確に決めることからスタートしましょう。
また、進出先を決める前段階でも、現地とのコミュニケーションや現地調査、非日本語の文書チェックなどで、ビジネス英語のスキルを持つ人材は欠かせないところです。
1. 海外進出の目的を
明確化させる
企業が海外進出を考えるのは、国内市場の先細りや生産コストの削減など、個別事情もあれば業界トレンドなどもあるでしょう。重要なことは、海外進出の目的が具体化かつ明確化されていて、それが自社の長期的な成長戦略と合致するかどうか、ということ。
一般的な海外進出の目的としては、販路拡大や生産拠点の移転、原材料・資材の調達、取引先の要請などが挙げられます。ただし、現地状況をはじめタイミングや自社の財務状況などを含めた総合的判断が必要。例えば、成長著しい新興国だと、賃金や物価上昇も加味しないと進出メリットが早々になくなるリスクがあります。かつて中国に生産拠点を作った日本のメーカーでも、人件費高騰や経済成長の鈍化を理由に、別な国・地域へ移転したケースも珍しくないのが実状です。
2. 海外進出する国を選択する
海外進出の目的が明確になれば、それを達成するための要件にマッチする進出先を探しましょう。
要件として調査すべき点は、主に3つ。現地の法規制や外資規制など日系企業の進出に関連するルールと、現地のマーケット事情や雇用環境など自社の採算性に関連する経済状況、そして対応が容易ではないカントリーリスクです。
すべての要件にマッチする国や地域が必ず見つかるというわけでないので、要件には優先順位を付けた上で、リスク要因を整理して、トータルで候補地を比較検討することになります。現地調査でリアルな情報を入手しないと見えないこともあるので、現地に赴き徹底的に調査するようにしましょう。
3. 海外進出計画を策定する
海外進出の計画は、段階を分けてステップバイステップで進行します。最初から精緻な計画書を作成するというより、調査や事前準備を進める中で、その気付きを反映させて資料の精度を上げていくことになるでしょう。まずは、海外進出の目的に沿って、達成すべき目標を具体化します。例えば、進出後3~5年後に事業の黒字化を目指すといったものです。
最初のゴールを定めたら、そこからの逆算で時期と工程をマッピングした計画表を作成すること。全体計画の中で、策定していく主な計画は生産・販売・設備・人員・資金など。これらを組み合わせて、総合的な海外進出計画とします。
進出先候補を絞り込む過程では、現地での組織形態や資本分類などもローカル事情に合わせて検討することになります。
海外進出支援機関に
依頼できること
海外進出をサポートしてくれる機関を「行政法人」「一般社団法人・財団法人」「民間企業」の3つに分けて紹介。無料の情報提供、有料の法人サービスと、それぞれの特性があります。
行政法人
JETRO(日本貿易振興機構)は、海外市場の調査・研究データの提供、現地での展示会・見本市開催などをする組織。中小企業庁は、中小企業・小規模事業者に特化して海外進出の支援施策や制度情報などを教えてくれます。行政法人は実務の支援はしないことも知っておきましょう。
一般社団法人・財団法人
日本商工会議所は海外展開イニシアティブという施策で情報発信をしています。日本代理店協会は代理店の加盟団体で、市場調査や現地企業とのマッチング支援、展示会の出展サポートなどに対応。
Glocal Solutions Japanは海外進出支援専門の一般社団法人で、調査や営業支援なども行っている組織です。
民間企業
海外進出支援の法人向けサービスは、トータルでサポートしてくれるコンサルティング会社もあれば、マーケティングに特化した会社もあります。旅行代理店のエイチ・アイ・エスでも、海外の情報収集や現地コーディネーションに対応しているなど、多様なサービスがあります。
実務で頼りになるのは
海外進出支援コンサル
本気で海外進出するなら、しっかりとした計画を立てて、思いつきや個人の勘で物事を判断しないこと。計画を立てたとしても現地調査などのフィードバック次第で、フレキシブルに計画変更することも重要なんだ。
公的機関から情報をもらうくらいは自社でもできるけど、実務レベルで具体的にサポートしてくれるのはやはり民間企業の海外進出支援コンサル会社!自社にはないリソースやノウハウをアウトソースして、専門家の手を借りる方が合理的だし、海外進出の成功確率も高まるはず。
当サイトでは、世界の統計データを基に、 今が狙い目の穴場な進出国をピックアップ。世界を俯瞰的に見ることで、自社が本当に勝てる市場を見つける手助けになれば幸いだ。各国の情報や海外進出支援コンサル会社についても紹介しているので、あわせてチェックしよう。