製造業
製造業の海外進出について、各種調査データを紹介するとともに、成功・失敗事例や重要ポイントなどを解説します。
日本の製造業が海外進出で
成功するためのポイント
技術力が高い製造業なら
優位性あり
日本企業の中でも、素材や材料、工業部品といった分野の製造業では、高い技術力を活かして、グローバルレベルで高いシェアを確保している企業も多々あります。こうした分野では、元々国内企業間の技術競争が厳しく、その中で勝ち残っている企業なら、海外進出しても製品技術や品質管理といった点はアドバンテージになるでしょう。
ニッチ分野の企業なら
母数拡大も
日本国内のニッチマーケットで一定の成功を収めている企業なら、海外進出によってターゲット顧客の分母を大きくすることで、大きく成長できる可能性があります。特に、成長著しい新興国の場合、市場が成熟した先進国とはマーケットニーズも異なるもの。日本企業の高度な専門性を活かした製品によって、マーケットの新規開拓も狙えます。
コスト削減や人的スキルが
成否の鍵
製造拠点が日本国内の企業は、海外工場を開設することで、原材料調達や人件費などのコストダウンを実現できる可能性があります。国によっては国外企業に対する税制優遇もあり、利益率向上が期待できるでしょう。
また、海外拠点を成功させるには、関わるスタッフのコミュニケーション力や交渉力、マネジメント力が重要になります。
製造業で海外進出するなら…
おすすめの国はココ!
国際協力銀行の「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(2022年12月16日付)」によると、「今後3年程度の有望な事業展開先国・地域」のトップはインド。これは3年ぶりの首位返り咲きで、得票率は40.3%(前年38.0%)。前年トップだった中国は得票率37.1%と、前年より10%前後減っています。
製造業の海外進出
成功・失敗事例
製造業の会社が海外進出した事例をネット上でリサーチ。成功事例と失敗事例の両方をピックアップしました。
成功事例1
電子機器・部品メーカーのコアックスは、主要取引先が大学やメーカーの研究機関。現場のユーザーである研究者からの高評価を得たことで、海外進出を検討するようになりました。販路開拓の施策では、学術会議の研究論文や展示会などを利用しています。
成功事例2
八幡化成はプラスチック製品メーカー。国内マーケットの将来性に不安を感じて、海外進出を決めました。自社HPの英語対応に始まり、欧米の展示会や商談会に出展して、現地バイヤーと関係性を確立。引き合いも増えて、輸出先も約25ヵ国に拡大しています。
失敗事例1
システムキッチンの製造販売会社がタイに進出。現地の富裕層向けに「日本製システムキッチン」をセールスしようという目論見でしたが、マーケットの実態を把握しておらず、成功には至りませんでした。富裕層の絶対数が多くはなかったこと、欧州製品と競合したことなどが敗因です。
失敗事例2
民主化後の経済成長を見込んで、ミャンマーの市場開拓に乗り出した中小企業の失敗事例を紹介します。現地ではインフラ整備や工場建設など大規模事業のパートナーとなれる企業が求められていて、中小企業では現地の有力企業と提携することも容易ではない状況でした。
製造業が海外進出するときに
注意したいこと
現地情勢や為替変動は
回避できない
海外でのビジネスでは、特定企業レベルでは対処できないリスク要因もあります。
現地の政治情勢や経済情勢などカントリーリスクと呼ばれるものはもとより、関連する法令が頻繁に改正されたり、商習慣のギャップに驚かされることもあるでしょう。
為替変動も円安・円高どちらも財務に影響するもの。燃料費・原材料費高騰などもある程度想定しておく必要があります。
現地採用やマネジメントは
容易でない
海外工場を建てて現地雇用する場合、採用市場やマネジメントの違いなども苦労しがちなポイント。
日本のような長期安定雇用を求める国はむしろ少なく、条件次第で定着率は大きく変わってしまうでしょう。
現地採用のスタッフを、日本人がマネジメントする場合、言語はもとより働き方や上司部下の関係性も異なるもの。管理職の負荷は想定以上に大きいと思ってください。
安価な人件費に
依存した事業は注意
製造拠点を海外に置く時、現地の安価な人件費に期待して競合との価格競争に勝とうという考えは注意が必要です。新興国が経済成長すれば最低賃金がアップしますし、現地の競合他社がいれば離職にもつながります。
一方、現地が好況ならば、企業としては現地での事業拡大も可能。中長期的視点での事業計画を立てましょう。
中長期視野で
現地情勢の入念な調査をしよう
製造業の海外進出は、中国がそうだったように、安価な製造拠点と巨大なマーケットという2つの側面によるものだった。製造業の事業展開先がインドに移ったのは、人件費の高騰もあるにしろ、やはり政治的側面が大きい。エリアごとの特徴や中長期視野での現地調査をしっかりしよう。
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