海外進出の予備調査を進める
海外進出の計画に不可欠な事前準備の調査活動。調査不足で失敗しないためにも、ポイントや支援機関を紹介します。
海外進出でなぜ予備調査
が重要なのか?
海外進出の失敗要因の多くを占めるのが、調査不足です。綿密な計画を立てた上で、進出計画を立てることが成功条件でしょう。その調査活動は、現地調査の前段階として予備調査を日本国内で実施します。
予備調査で調べる内容は、労働や外資に関連する法規制をはじめ、政治・経済・社会情勢などカントリーリスクの要因や現地のマーケティングデータが挙げられます。
海外進出前に調査すべき5項目
海外進出前に調査すべき市場規模、顧客ニーズ、競合企業、規制・法律・商慣習、パートナー企業の5項目を説明します。
海外の市場規模
海外マーケットに進出して販路拡大を目的とするなら、現地のマーケティングリサーチをすることが第一歩。進出先の国・地域を選定する際の比較検討材料にもなります。
例えば、中国は一時に比べて成長が鈍化、現地人件費の高騰、そして規制などの問題もあって、これから海外進出しようという企業にとって候補地にはしにくい状況。一方、東南アジアには経済成長が顕著な国も複数あって、注目もされています。
海外の市場規模を調査する際は、直近データだけでなく、これまでの成長率や将来予測など、変動要素もチェックしましょう。
顧客のニーズ
進出先に自社の製品・サービスに対するニーズがあるかを調査するのは最重要事項。ニーズは業種業態によって様々ですし、toCビジネスとtoBビジネスとでは、調査項目も違います。
toCビジネスなら、競合調査や価格帯別のマーケット規模、顧客層の属性調査などが基本項目。toBビジネスなら、取引先となり得る企業のリストアップから、当該ビジネスの今後の成長性、進出先からの移転の可能性なども調査したいところ。特に、法人取引を目的として海外進出するなら、現地調査時にコンタクトするための潜在顧客を具体化しておくといいでしょう。
競合企業
競合調査をするのは当然ですが、国内市場の調査と異なる点は、現地でシェアを確保している製品やサービスを調べることで、嗜好性や文化など現地特有のニーズを知るための材料にもなります。
競合調査をすることで、海外進出という事業展開におけるベンチマークを見つけることもできます。流通形態やプロモーション戦略、売上規模やターゲット層など、事業計画を立てる上で、方法や数値設定などの参考及び目標設定にも役立つでしょう。
規制・法律・商慣習
規制や法律は国・地域によって千差万別ですが、基本的には明文化されたもの。ただし、調査が必要な範囲や、現地での実際の運用状況などもこと細かに調査する必要があります。見落としやすい点の例は、現地での会社設立はできても営業権が認められないケースや、生産拠点の開設はできても原材料の調達ができないケースなど。
さらに、商習慣は現地事情に精通していないとわかりません。むしろ日本の方がグローバルレベルで異色の存在。先入観なく現地の実状を理解することが大切です。
パートナー企業
国・地域によっては日系企業が現地法人を直接設立することができず、現地企業と合弁会社を設立しなければならないケースもあります。それ以外でも、原材料の調達や販路の確保など、どの業種業態であっても、自社単独で現地の事業を回せるものではありません。
そこで重要となるのが、現地のパートナー企業。必要とするリソースを提供してくれる相手であることを前提として、中長期的に信頼できるのか、複数の方法を使ってパートナー候補の企業を調査しましょう。
海外進出支援機関に
依頼できること
海外各地の情報を提供してくれる機関を「行政法人」「一般社団法人・財団法人」「民間企業」の3つに分けて紹介。無料の情報提供もあれば、業務を委託できる企業もあります。
行政法人
JETRO(日本貿易振興機構)は海外市場の調査・研究データを持っていますし、中小企業庁は制度情報などを提供してくれます。行政法人は、海外進出支援の実務には対応しないものの、世界の様々な国・地域の情報を提供してくれるので、調査にはとても役立ちます。
一般社団法人・財団法人
日本商工会議所では、国内海外展開支援施策情報の整理を実施。会員企業に情報を提供してくれるので、地元の商工会議所に相談してみましょう。日本代理店協会では、海外進出支援として事業展開対象国の市場調査をしています。
民間企業
旅行代理店でもあるエイチ・アイ・エスは、自社海外拠点を活用した情報収集などを法人向けサービスとして展開。海外ビジネス支援コンサルティング会社なら、調査を含めた総合支援もしてくれます。また、海外Webマーケティング会社は越境ECの知見などで頼りになるでしょう。
調査分析の実務は
海外進出支援コンサルに
海外進出に関する調査では、公的機関から無料で情報をもらうことも可能。ただし、予備調査の初期段階は別として、現地調査やより踏み込んだ生の調査データを収集して分析するなら、海外進出支援コンサル会社の力を借りよう。
調査って、単に数値データを集めればいいわけじゃなく、目的や戦略に必要な情報を調べて、そのデータを読み解くスキルが必要。自社にマンパワーやリソースが足りないなら、実務の一部を専門会社にアウトソースする方がよい結果になるよ。
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