IT・通信業
IT・通信業の海外進出について、各種調査データを紹介するとともに、成功・失敗事例や重要ポイントなどを解説します。
日本のIT・通信業が海外進出
で成功するためのポイント
採算がとれる
具体的な見込みがある
海外進出にあたっての事業計画では、単月・単年の黒字化や初期投資のリクープがいつになるのか、予見が難しいともいえます。逆にいえば、自社が進出して採算がとれる見込みがあってこそ。IT・通信業なら、既存顧客の現地法人でニーズがあるなど、具体的な営業戦略の立案が可能で採算性が見えるかどうか、客観的な視点で精査しましょう。
海外派遣する人材は
適応力が必要
海外進出に伴って日本から派遣する人材は、マネジメント能力や語学力に加えて、臨機応変な対応力や忍耐力があるといいでしょう。商習慣・生活習慣などが異なる環境で、日本での職場と同様の業務遂行が難しくとも、フレキシブルに切り盛りできる人材なら期待できます。アジア各国は全般、日本ほど組織的には動いてくれないので、現地文化に適応できるスキルが求められます。
現地スタッフとは
関係性の構築が大切
日本以外の多くの国・地域では、待遇が良い企業にどんどん転職していくのがスタンダードなので、現地採用した人材は有能なほど退社していくことを前提に、人事管理をする必要があります。オフショア開発ではベトナムが注目を集めていますが、優秀なエンジニアはどこでも引く手あまた。できるだけ長期雇用して、現地の人材を管理職に昇格させるといった関係性の構築も大切です。
IT・通信業で海外進出する
なら…おすすめの国はココ!
東欧はアジアに近いヨーロッパでありながら西欧と比べて賃金水準が約1/5(2023年3月2日調べ)。一方、ベラルーシは東欧のシリコンバレーと呼ばれるほどICT産業に強みを持ち、2019年のICT関連輸出額が2000億円を超える規模を誇ります。オンラインゲームメーカーのウォーゲーミングはベラルーシの企業です。
IT・通信業の海外進出
成功・失敗事例
オフショア開発に代表される、IT・通信業会社の海外進出事例をリサーチ。成功事例と失敗事例の両方を紹介します。
成功事例1
Webマーケティングを手掛けるウィルゲートは、ベトナムにオフショア開発体制を構築しています。内製ではなく、現地の開発会社エボラブル アジアへの委託で、ラボ型の専属チームという位置付け。現地エンジニアのスキルが高く、社内エンジニアの意識を高める効果も出ています。
成功事例2
ゴルフダイジェスト・オンラインは、運用保守業務の約7割をベトナムのオフショア開発会社コウェルにアウトソーシングしています。結果、コストダウンは年間2億円前後、2名だったチームを50人体制にして、スピーディーな対応も実現しました。
失敗事例1
日本よりも人材の流動性が高い海外では、IT・通信業だとよりエンジニアの入れ替わりも頻繁します。ソースコードの書き方がある時期から変わってしまったり、納品が遅れたりといったケースもあります。スタッフの退職が情報共有されないなど、要注意です。
失敗事例2
エンジニアの人件費が安いからとオフショア開発体制を構築した結果、新興国の経済成長で現地の人件費がアップしたり、為替変動で円安になれば日本法人側から見て収益性の悪化にもなります。費用対効果が悪くなったことで、海外の開発体制をクローズしたというケースもあるほどです。
IT・通信業が海外進出する
ときに注意したいこと
相互理解できる
語学力が問われる
ベトナムを例にとって、現地に開発拠点を構築する場合のコミュニケーションについて説明します。
日本企業の案件をオフショア開発体制で請け負っている現地企業は増えていますが、現地スタッフはベトナム語、英語、中国語はできても、エンジニアだと日本語まで堪能な人材が豊富とはいえないでしょう。詳細な点まで相互理解するには、現地派遣する人材の語学力も問われるわけです。
進捗管理は
こまめなチェックが必要
日本と比べると、納期やスケジュールの進捗を厳守すべしという義務感が薄いケースが多々あります。これは仕事を軽視しているというより、働き方そのものの違いなので、マネジメントするにあたってはこまめに進捗管理をすること。納期直前まで放置していると、遅延を気にもしていなかったという事態にもなりかねないので注意しましょう。
オフショア開発は
小規模だと割高
オフショア開発体制を持つことで得られるメリットのひとつに、人件費を抑えられるという点があります。ただし、これは規模の大きなプロジェクトでこそ生じるもので、小規模だとブリッジSEやコミュニケーターといった人材のコスト分、トータルで割高になってしまうケースがあるほど。ドキュメント作成でも手間は増えるので、採算性には要注意です。
競合や採算性調査など、
現地の事前調査が重要
優秀なエンジニアは世界中どこでも売手市場。現地採用しても短期間で好待遇の競合に転職されることもある。その点、東欧、特にベラルーシが狙い目なのは、日本企業の競合がまだ少ないこと。採算性調査など、まずはエリアごとの特徴を吟味しよう。
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